返報性の法則の図

 

今回の要点先読みコーナー

・人は何かをしてもらうと、お返ししたくてたまらなくなる

・返報性の法則を活用して、売上をアップさせることが可能

・フロント商品やダウンセル商品にも、返報性の法則が働いている

・返報性の法則は便利だが、悪用すればいずれ自分の首を絞める結果になる!

 

ロボリンちゃん

これあげるわ。

 

チンパンジーくん

わー!ありがとう! 今度お礼にチョコレートあげるね!あれもこれもあげるね!

 

ロボリンちゃん

(ふふふ)

 

それでは詳しい内容が気になった方は、本文をお読みください。

 

 

・「誰かにプレゼントを貰ったら、自分も何かお返しをしたくなる…」

・「誰かに親切にしてもらうと、自分もその人に親切にしたくなる…」

 

あなたにはそんな経験はありませんか?

 

今回はそんな「誰かに何してもらったら、お返ししたくなる」という心理、

「返報性の法則」をビジネスに応用する方法・事例をご紹介していきます。

 

 

この返報性の法則を理解してビジネスに取り入れることによって、

売上のアップにつなげることができます。

 

また、ビジネスのアイディアを考える上でのヒントにもなりますし、

他社の商品やサービスを参考にする際も、

知っていると知っていないとでは見方が変わってくると思います。

 

 

このブログで過去にご紹介した

 

フロントエンド

ダウンセル

 

などは、この返報性の法則を取り入れた手法の一つと言えます。

 

 

ビジネスを行う上での根本に近い知識とも言えますので、

ぜひしっかりと読んで、あなたのビジネスに活かしてみてください!

 

 

返報性の法則についての解説

 

まずは返報性の法則についての解説です。

 

 

返報性の法則とは冒頭でもご紹介したように、

「何かをしてもらったら、お返しをしたくなる」という法則です。

 

これ自体はけっこう有名な話なので、

すでに知っているという方も多いかもしれません。

 

 

ここに加えて、返報性の法則の特徴をいくつか挙げると

 

・相手のことが好きでも嫌いでも、何かをしてもらうとお返しをしたくなる

・小さな親切を行っただけなのに、大きなお返しをされる可能性がある

 

と、このような特徴も同時に備えています。

 

 

返報性の法則を表す実験の例

 

よくこの返報性の法則を証明する際に引き合いにだされるのが、

「チケットを買ってもらう実験」です。

 

 

これはデニス・リーガンという心理学者さんが行った実験で

 

1:何もあげずにただ宝くじのチケットを買ってくれるようにお願いする

2:コーラを一本あげてから、宝くじのチケットを買ってくれるようにお願いする

 

この二つの場合、どちらの方がたくさんのチケットが売れるかを比べるというものです。

(ちなみにチケットの値段は1枚25セント、コーラは当時1本10セントです)

 

 

この実験の結果、コーラを渡してからチケットを買ってくれるようにお願いした場合は、

何もあげずにお願いした場合の2倍以上のチケットが売れたそうです。

 

 

何故このような心理が働くのか?

 

何故「何かをしてもらったら、お返しをしなければいけない」という

返報性の法則が働くのでしょうか?

 

それは一言で言うなら「借りを受けたままでは気持ちがモヤモヤするから」です。

 

 

例えば野生の生き物などの場合、人間が気まぐれに餌を与えたとしても、

ただその餌を食べたらそれでおしまいです。

 

「申し訳ない」とか「恩を返さなくては!」とは考えず、

感謝の言葉も当然なく、その場から立ち去るだけでしょう。

 

 

しかし我々人間は社会やルールを作って、

コミュニケーションを取りながら生きる生き物です。

 

誰かに何かをしてもらったり、何かをいただいたりした時、

もし感謝の言葉もなくお返しもしなければどうなるでしょうか?

 

・「あいつは人には何かさせるくせに自分は何もしない!」

・「あいつに構うだけ無駄だな…」

・「恩を知らないやつだ!」

 

と思われてしまう可能性は十分にありますし、

将来的に自分の首を絞める結果になってしまうのは目に見えています。

 

 

つまり誰かに親切にされたり、恩を受けたままの状態というのは、

嬉しい反面ストレスでもあるのです。

 

そのストレスを取り除くために相手にもお返しをして、

受けた借りを帳消しにしようという心理が返報性の法則です。

 

 

ここだけの話、女性がデートなどで男性から高価なプレゼントをもらったり、

デートの代金を負担してもらったりした場合、

女性は「お返ししなくてはという不快な義務感」を感じることがあるそうですよ。

 

心のストレスがお返しにつながる

 

 

返報性の法則をビジネスに応用している例

 

前置きが長くなってしまいましたが、

この返報性の法則をビジネスに応用している例をいくつかご紹介します。

 

 

スーパーの試食コーナー

 

返報性の法則をビジネスに応用している分かりやすくて身近な例が、

スーパーの食品コーナーによくある「試食コーナー」です。

 

 

売り子さんが立っていて試食をするように勧めてくれるのですが、

一度食べるとただ紙皿と爪楊枝を捨ててさようならとは言いにくくなってしまいます。

 

「無料で食べる」という行為に対して申し訳なさが発生してしまうので、

返報性の法則が働きます。

 

その結果、「今晩のおかずはこれにしようかしら」

となってしまうわけですね。

 

 

前回の「売上アップの秘訣!コミットメントと一貫性の原理とは?」でお話した、

私が長野の「食の合戦」というイベントに参加した時も、

無料のお茶とお菓子の試食品を用意してお客様に振舞っていました。

 

これも返報性の法則による購買効果を狙ってのことです。

 

 

フロントエンドによって返報性の法則が生まれる

 

過去のフロントエンドに関する記事を見た方はピンと来るものがあったと思います。

 

先ほどのスーパーの試食やお菓子の試食などは、

「お客様を集めるための格安商品・無料サービス」である

フロントエンド商品です。

 

 

このフロントエンド商品を上手く活用することによって

 

1:「無料だし安心して商品を試せる!」

2:「無料で商品を試させてもらったし、頼まないのも申し訳ないかな…」

 

という2段階のメリットを得ることができます。

 

フロントエンドと返報性の法則の関係

 

 

実際、私が過去に不用品回収のサービスを行っていた時のことですが、

「無料の出張見積り」というフロントエンドをご利用していただいたお客様の大半は、

そのままサービスを購入してくれました。

 

 

フロントエンド商品はこうした意味でも、

ビジネスを行う際必ず用意しておくべきだと私は思います。

 

 

譲歩することによっても返報性の法則は働く!?

 

返報性の法則は必ずしも何かをしてあげないと働かないわけではなく、

こちらが譲歩した提案をすることによっても働くことがあります。

 

その例が「ボーイスカウトの子供の例」です。

 

 

あるボーイスカウトの男の子が、ある男性のお宅に訪問し、

「今度サーカスを開くのですが、よろしければチケットを何枚か買ってくれませんか?」

と男性に問いました。

 

しかし男性はサーカスには興味がなかったので断りました。

 

 

するとその男の子は

「チケットがダメなら、チョコバーはいかがですか?1本たった1ドルです」

と、今度は別の安い商品を提案しました。

 

すると、男性は実はチョコバーもあまり好きではなかったのですが、

チョコバーを2本も購入してしまったのです。

 

 

このように相手が拒否した後に譲歩した提案をすることによって、

相手から承諾を引き出すことができる場合もあります。

 

これは心理学では「ドア・イン・ザ・フェイス」と呼ばれるテクニックで、

ビジネスの世界でもよく使われる方法の一つです。

 

 

ダウンセルの提案にも使われている返報性の法則

 

過去のダウンセルの記事をご覧になった方はピンと来るものがあったと思います。

 

本命の商品が断られた後に安価な別の商品を紹介するというのは、

ダウンセルを提案する際の方法と非常に似ていますね。

 

ダウンセル商品が総合的な売上のアップにつながるのは、

この返報性の法則が関わっていると考えるのが自然でしょう。

 

 

このように、返報性の法則はビジネスの多くの場面で活用することができる、

とても重要な知識の一つなのです。

 

 

返報性の法則は便利だが、悪用は厳禁

 

前回のコミットメントと一貫性の原理の記事でも

最後に注意として書きましたが、

この返報性の法則も悪用することはお勧めしません。

 

返報性の法則は活用の幅も広くてビジネスのあらゆる場面で活かせますが、

「お客様の心につけ込んで無駄な商品を買わせる」といいうのは、

将来的に自分の身を滅ぼすことにつながります。

 

 

心理学を利用してお客様に無駄な商品や役に立たない商品を売りつければ、

確かにその時は売り上げが上がるかもしれません。

 

しかし今はネットでいくらでも悪評が広がる時代です。

 

誠意のないビジネスを行っていると、

その噂は一瞬で日本中、世界中に広がってしまいます。

 

そうなると結局あなたの会社や商品は信頼を失い、

目先の利益を求めたばかりに将来のお客様を根こそぎ失うことになるのです。

 

 

ビジネスはあくまでお客様第一であることを肝に銘じておきましょう。

 

 

返報性の法則についてのまとめ

・人は何かをしてもらうと、お返ししたくてたまらなくなる

・返報性の法則を活用して、売上をアップさせることが可能

・フロント商品やダウンセル商品にも、返報性の法則が働いている

・返報性の法則は便利だが、悪用すればいずれ自分の首を絞める結果になる!

 

 

返報性の法則はビジネスの様々な場面で活用できる重要な知識です。

 

正しく活用して、

ぜひあなたのビジネスを加速させましょう!

 

営業に使える心理テクニック