ロボリンちゃん

ここに特製バナナジュースと特製バナナチョコがあるわ。

あなたはどっちを買いたいのかしら?

 

チンパンジー(不安)

え?え~と…じゃあバナナジュースを

買おうかな…。

 

ロボリンちゃん

(本当は「買わない」という選択肢もあったはずよ。

だけど人間は二つの違ったメッセージを聞くと

混乱してしまって判断力が低下してしまうわ。

これがいわゆる一つのダブルバインドよ)

 

営業マン「この商品には赤と青、二つのカラーがありますが、あなたはどっちを買いますか?」

僕「う~ん、今の気分は青って感じだから、青にしようかな…」

 

友人「今度一緒に映画を見に行きたいんだけど、来週と再来週、どっちの週末が良い?」

僕「う~ん、強いて言うなら再来週の週末がいいかなぁ…」

 

恋人「今年のゴールデンウィーク、沖縄と北海道、どっちに行きたい?」

僕「う~ん、暖かい沖縄の方がどっちかって言うといいかなぁ…」

(注:僕に恋人はいません)

 

…さて、皆さんお気づきでしょうか?

僕がまんまと相手の掌の上で踊らされ、

「どっちに転んでも相手が得する決断」をさせられていることに!

 

人は「AとBのどっちがいい?」と聞かれてしまうと、

ついつい「どっちか」を選択してしまいやすくなってしまいます。

 

上の3つの例では、僕はそれぞれ

 

・不要だから買わない

・映画を見に行かず、家でゴロゴロする

・沖縄でも北海道でもなく、伊豆の温泉に行く

 

などなど、第三の選択肢を取ることもできたはずです。

なのについつい、与えられた選択肢から答えを選んでしまいます。

 

世間ではこうした状況を「ダブルバインド」と呼んでいます。

(もしかしたら、あなたもこうした状況に置かれた経験があるのではないでしょうか?)

 

もしかしたら、あなたの周りにもダブルバインドのテクニックを使い、

あなたをコントロールしようとしている人がいるかもしれません。

 

また、もしかしたら、あなた自身が誰かに対し、

知らず知らずのうちにダブルバインドを使っていて、

相手に精神的な負担を強いてしまっているかもしれません。

 

自分の身を守るために、

そして、知らず知らずのうちに誰かを傷つけないために!

今回はこのダブルバインドについて解説していきます。

 

今回の記事をしっかり読んでみてください。

 

ダブルバインドとは?

 

ダブルバインドとは?

 

まずはダブルバインドについての詳しい説明です。

 

ダブルバインドとは、精神医学の研究者である

グレゴリー・ペイトソンという方が提唱した

コミュニケーションの手法の一つです。

 

どんなコミュニケーション手法なのかというと、

「二つの矛盾した(違った)メッセージを伝える」というものです。

冒頭での例もそれぞれ二つの違った提案をしていましたよね。

 

ダブルバインドをされるとどうなるか?

 

困っている外人

 

二つの矛盾した、または違ったメッセージを聞かされると、

人間は一瞬混乱してしまい、どうしていいのか分からなくなります。

 

過去の記事である

 

判断力が低下する魔の時間帯が存在する!?黄昏効果とは?

表現を変えるだけで売上2倍!?成約率を上げる言い方の工夫とは?

 

でも触れた内容ですが、お客さんに商品を買ってもらったりなど、

誰かから「YES」を引き出す際は、相手を混乱させて思考力を奪うのがコツです。

 

思考力が薄れた時と言うのは、

人間はついつい相手が容易してくれた選択肢に

うなずいてしまいやすくなります。

 

そうした観点から見れば、ダブルバインドもまた、

相手を一瞬混乱させて思考力を奪うので、

相手からの「YES」を引き出す上で強力な武器になります。

 

人間は考えるのが嫌い!

 

何故人間は混乱したり、確信が持てないような状況に陥ると、

ついつい相手の言うことを聞いてしまいやすくなるのでしょうか?

 

その原因は、人間が本能的に考えることを避けたがっているからだと僕は思います。

 

人間の脳というのは体の各機能を動かすだけではなく、

音や映像、臭いなどの外界からの情報も処理していて、

とても忙しく働いている器官です。

 

その証拠に、脳は体全体のおよそ2%ほどの重さしかない臓器ですが、

一日の消費カロリー全体のおよそ20%を消費しています。

とても働き者なんです!

 

なので、人間と言うのはできれば何かを考えたりして、

脳に余計な負荷をかけたくないのです。

 

そのため、混乱状態などの正常な思考が出来ないような場面では、

考えるよりも相手の提案してくれたことに乗る方が「脳が楽」なので、

ついついダブルバインドに引っかかってしまうのだと思います。

 

…また、余談ではありますが、

ハーバード大学のジェラルド・ザルトマン氏の研究によると、

人間は一日の内に考えて行動しているのはたった5%だけで、

残り95%は無意識で行動しているそうです。

 

我々人間は、自分が思っているほど物事を考えてないのかもしれませんね!

 

ダブルバインドに引っかからないようにするには?

 

戦う姿

 

冒頭でもいくつか例を挙げたように、ダブルバインドはビジネスや恋愛、

友達付き合いなどなどの様々なシーンで出くわす可能性があります。

 

では、実際に自分がダブルバインドに引っかかりそうになった時どうすればいいのか?

 

一つの方法として、「あ、俺今混乱してるな」と自覚することが挙げられます。

 

混乱している状態と言うのは、

事実を一つ一つ確認していくことで思考の整理がつき、

回復することが可能です。

 

そのため、ダブルバインドを仕掛けられた時は、

まずは自分が混乱し、動揺しているという事実を確認しましょう。

 

その後で

 

・相手が提案した以外の選択肢はないのか?

・相手の選択肢で自分はメリットがあるのか?

・相手はこちらを心理的に追い詰め、騙そうとしていないか?

 

ということを分析していくと、

冷静に会話ができると思います。

 

ダブルバインドが人を追い詰める!?

 

危険!

 

ダブルバインドというのは相手を混乱させて、

YESを引き出すという効果があると説明しました。

 

しかし、もう一つの側面として、

「相手を自分の支配下に置く」という、

言ってしまえばマインドコントロールのような面もあります。

 

例えば、あなたはこんな状況に陥ったこと、

もしくは相手にこんなことを言ってしまったことはありませんか?

 

上司に「何でも人に聞いてばかりいないで、自分で考えろ!」と言われた後に、

今度は「何で勝手な判断でやった!ちゃんと聞いてからやれ!」と言われた。

 

何かミスをした時、上司に「何で失敗したか分かってる?」と聞かれたので、

理由を言ったら「分かってんのに何で失敗するの?」と問い詰められた。

 

部活の先生などに「やる気あるのか!?」と言われたので「ある」と言ったら、

今度は「じゃあさっきのプレーは何なんだ!」と言われた。

 

…世の中によくある光景の一つですが、

こうした「どう答えても怒られる」というやり取りも、

ダブルバインドの例に当たります。

 

そして、人間はこのような「どう答えても怒られる」という状況になると

 

・この人には敵わない…

・大人しく従っておこう…

 

という心理に陥ってしまうのです。

 

そしてさらに、こうした心理に陥ってしまった人と言うのは、

何を信じていいのか分からなくなってしまうため

 

・何でも言葉通りの意味にとらえるようになる

・言葉の裏にどんな意味があるのかを考え込み、疑心暗鬼になる

・コミュニケーション自体から逃げる・避ける

 

という思考・行動になってしまうのです。

 

部下が何かミスをしてしまった際、

同じようなミスをさせないために叱ることは

ある意味必要かもしれません。

 

しかし、「部下を指導する」という本来の目的を見失い、

怒りに任せて部下を罵り、自分がスッキリしたいがために、

知らず知らずのうちにこのようなダブルバインドをしている人も多いと思います。

 

もしあなたが人の上に立つ立場で、

例に出したような発言をしているのなら、

それは今すぐにやめるべきでしょう。

 

無用なストレスがかかった状態では、

部下も本来のパフォーマンスを発揮することはできません。

 

また、もしあなたの上司がこのようなダブルバインドを

使った罵倒をしてくる上司ならどうするか?

 

僕が考える方法は3つです

 

1:何も答えない

2:意外性のある返答をする

3:その場から一旦退散する

 

何故このような行動を取るかと言うと、

怒りやすい人間と言うのは心理学的に、

自分が怒っていることが相手に効いていると感じると、

さらにつけ上がる傾向にあるからです。

 

「やる気あるのか!?」と目上の人に言われたら、

普通は蚊の鳴くような声で「はい、あります…」と答えてしまうと思います。

(僕も昔はしょっちゅう怒られ、その度にこんな感じでした)

 

しかし、それは相手にとって期待通りの反応であり、

言ってしまえば「自分が怒っているのが効いている」ということになります。

それでは相手はさらにつけ上がってしまうだけです。

 

そして次には追撃の「じゃあ何でできないんだ!?」が来るわけです。

 

なので、「やる気あるのか!?」と怒鳴られたら、

あえて「無いです」と言うことで、

相手の怒りが効いてないことをアピールすることができます。

 

また、「無いです!」とハッキリ言う勇気がない時は、

ひたすら何も言わずに時間が流れるに任せようと思います。

下手なリアクションを取って相手を増長させるよりは静かに終わると思います。

 

また、どうしても耐え難い場合は問答無用で一度その場から離れ、

深呼吸をし、自分が混乱していることを自覚し、

冷静な気持ちを取り戻しましょう。

 

いずれにしても、しっかりとミスに対して指導をするためのお説教ならまだしも、

怒りの発散だけが目的の人格否定タイプのお説教に付き合う必要はありません。

 

そういう人の説教の場合は、余計なリアクションを取らずに、

右から左に受け流すのが肝心です。

 

今回のお話は以上になります。

長々とお付き合いいただきありがとうございました。

 

ダブルバインドは我々の日常の至る所に潜んでいます。

 

・まずはダブルバインドという心理テクニックをよく知ること

・自分がダブルバインドに直面した時は、自分が混乱していることを自覚すること

 

結局はこの二つが、ダブルバインド対策の最たるものかもしれませんね!

 

それでは、最後までお付き合いいただきありがとうございました!

 

 

営業に使える心理テクニック