認知的不協和

今回の要点まとめコーナー

 

・認知的不協和とは「矛盾を解決するために自己正当化できる理由を考える」という心理

・この心理によって意固地になってしまい、結果的に損をしてしまうこともある

・認知的不協和を応用することで、相手に好印象を持ってもらうことも可能

・「小さな対価で大きな成果」という形式の広告はこの認知的不協和で興味を引いている

 

それでは詳しい内容が気になった方は本文をお読みください。

 

 

今回は「認知的不協和」という心理効果について解説していきます。

 

この認知的不協和というのは我々の生活のいたる場面で

起こっているかなり身近な現象なので、

この認知的不協和を理解することによって

 

・人間関係を円滑に進めるための手助け

・コピーライティングや営業など、ビジネスへの活用

・自分の悪癖や偏見の改善

 

などなど、様々なことに活用できると思います。

 

ぜひ覚えていただいて、あなたの生活の助けになれれば幸いです。

 

 

 

認知的不協和とは何か?

 

怖そうな人

 

まずは認知的不協和についての解説です。

 

認知的不協和というのはアメリカの心理学者である

レオン・フェスティンガー氏によって提唱されたもので

 

・「人は自分の中に矛盾を感じた時に不快感を感じる」

・「そしてその不快感を消すために自分が納得できる理由を後付けし、自分を正当化する」

 

という心理効果のことです。

 

 

認知的不協和の例

 煙草を吸っている男

堅苦しい言葉だけではちょっと分かりにくいと思いますので、

日常でもよくあるような会話を例に解説していきたいと思います。

 

例えば、毎日晩酌をしていて酒をよく飲んでいる人に対して

「酒を飲みすぎると肝臓に負担がかかって体を壊すよ」と忠告したとしましょう。

 

するとその相手の中にはどんな心理が働くかと言うと

 

・「自分は酒を毎日飲んでいる」という事実

・「酒は体に悪い」という情報

 

この二つが同時に頭の中に発生するので、

自分の取っている行動と得た情報に矛盾が生じてしまい、

不快感が発生してしまいます。

 

すると、その不快感を消すために

 

・でも前の健康診断ではそこまで悪い数値は出てないし、まだ大丈夫

・酒は百薬の長って言うし、悪いことばかりでもないはず

・そもそも病気になるならないは個人差があると思う

・自分は酒に強い方だから大丈夫だ!

 

などなどの「自分を正当化する理由」を頭の中で考えて、

自分の行動を正当化しようとするのです。

 

その結果

 

自分は正しい軍団

・自分は酒を飲んでいる

・健康診断ではまだまだセーフだった

・酒は百薬の長

・病気になるならないは個人差

・自分は酒に強い

                VS

自分は間違ってる軍団

・酒を飲んでいると肝臓が壊れる

 

51で自分は正しい軍団の勝利!!やっぱり俺は正しい!」

 

…ということになってしまうわけです…。

 

他にも、タバコを吸っている人「タバコ吸うのは体に悪いよ!」

なんてことを言っても同じような反応がよく起こりますよね。

 

人間は中々人の忠告を素直に聞くことができませんが、

その心理にはこの認知的不協和が大いに関係していると思われます。

 

 

 

知らず知らずのうちに意固地になって損をしている可能性も

 気まずい2人

このように「人からの忠告に対して自分の中で言い訳を作って反発する」

という行動は、僕たち自身知らず知らずのうちにやってしまっている場合があります。

 

「部屋を片付けた方がいい」と言われても

「これが必要な物がすぐに取れる配置なんだよ」と言い訳したり…。

(僕です)

 

「メシ食いすぎじゃない?」と言われても

「そんな体重変わってないから大丈夫だって」と言い訳したり…。

(僕です)

 

「家でパソコンばっかしてないでたまには外出たら?」と言われても

「別に外に出たからって特にやることないし…」と言い訳したり…。

(僕です)

 

誰かに何か間違いを指摘されたりすると認知的不協和が発生し、

このようになんやかんやと言い訳をしてしまうことはよくあります

 

しかし、相手からの忠告というのは自分を改善するための

ヒントが得られるチャンスであるとも言えます。

 

そのせっかくのチャンスを認知的不協和に流されてみすみす取り逃がし、

結果的に損をしているということは日常生活の中でも往々にしてよくあることです。

 

誰かに何か忠告されたり指摘を受けた時は、

自分の中で言い訳を作り出す前に素直に相手の言い分を聞くのも重要かもしれません。

 

 

認知的不協和によって好印象を植え付ける

 惚れる

この認知的不協和ですが、何も意固地になって

頑固になってしまうだけで終わりの心理効果ではありません。

 

認知的不協和を上手く活用することで、

相手に好印象を持ってもらうことも可能です。

 

例えば「不良がたまに良いことをすると、実はいいやつなのでは?と思えてくる」

というのも認知的不協和によって好印象が植え付けられている好例と言えます。

 

不良や悪い人がたまに良いことをすると

 

・「あいつは悪いやつだ」という認識

・「でも良いことをしていた」という事実

 

この二つが矛盾して不快感が生じ、

その不快感を消すために「実は良いやつなのかもしれない」

という結論を見出してしまうわけです。

 

ジャイアン

 

具体的な例を出すとドラえもんのジャイアンがまさにそれです。

 

ジャイアンはいつものび太をいじめたり

こき使ったりしまくっている最高に傍若無人な性格です。

 

「お前の物は俺の物、俺の物は俺の物」という倫理観念に対して

喧嘩をふっかけているとしか言いようのない名言まで生み出してしまった怪童で、

その思想はジャイアニズムとしてWikipediaに専用ページが作られているほどです。

 

もはや北斗の拳に出てくるモヒカン共と発想が同じと言っても過言ではありません。

 

そんないじめっ子という概念に手足生やしたような存在のジャイアンですが、

いざ映画などになると途端に協力的になり、頼れる男に変身します。

 

そして、そんな頼れるジャイアンを見ていると

 

「あれ?ジャイアンってけっこう良いやつじゃね?」

 

と思ってしまうわけです。

 

ドラえもんのアニメはこれまでで通算2400話以上放映されています。

 

そして、正確な統計を取ったわけではありませんが、

大体の話がのび太がジャイアンにいじめられるところから話が始まっています。

8割くらいはそうと言っても過言ではないかもしれません(僕の体感ですが…)

 

対してドラえもんの映画の数は37くらいです。

 

全部の映画でジャイアンが良いやつ化していたとしても、

圧倒的に悪いことしてる方が多いんですよ!

 

なのに映画を見てると「ジャイアン良いやつじゃね?」ですよ。

認知的不協和の力は恐ろしいですね!

 

 

 

実は認知的不協和の他にも様々な心理効果が働いている

 

「不良がちょっと良いことをしているだけで印象が劇的に良くなる」という、

通称「ジャイアン映画版現象」ですが、実はこの現象には認知的不協和以外にも

様々な心理効果が働いています。

 

例を挙げるなら、一つ目は「知覚のコントラスト」です。

 

知覚のコントラストとは、最初に提示されたものと次に提示されたものが大きく異なる時、

実際以上にその差を感じてしまうことです。

 

この場合では最初に提示されたものが「いつもの傍若無人ジャイアン」で、

次に提示されたものが「映画版ジャイアン」ということになります。

 

「いつものジャイアン」と「映画版ジャイアン」では

性格ややってることが大きく違うので、実際以上に差を感じてしまうわけです。

 

もう一つは「寛大効果」というやつです。

 

寛大効果とは、自分にとって好ましい特徴はより強調して評価し、

悪い特徴は逆に控えめに評価してしまう現象のこと。

 

この効果が働くことによって、

映画版ジャイアンの「良いやつ!」「頼れる男!」という好ましい特徴が強調され、

普段の暴力的な悪い面は自然と控えめに評価してしまうということですね。

 

・認知的不協和

・知覚のコントラスト

・寛大効果

 

この他にも様々な心理効果が働いているかもしれませんが、

こうした複数の心理効果の上で「ジャイアン映画版現象」は成り立っていると言えます。

 

 

ジャイアン映画版現象を生活に活かすには?

 不良の画像

話の本筋が危うくジャイアンになってしまいそうなので、

グイッと話を戻します。

 

この認知的不協和を始めとした様々な心理効果からなる「ジャイアン映画版現象」ですが、

実はちょっとした工夫でも我々の生活に取り入れることが可能です。

 

例えば極端な例を挙げると

 

・スキンヘッド

・サングラス

・黒スーツ

 

といういかにも関わったらヤバそうなスタイルで普通に敬語で話したり、

バスや電車でおばあちゃんに席を譲ったりしてるだけで

周りの人に好印象を与えることができるでしょう。

 

また、そこまでしなくても、例えば強面の人が可愛い小物を愛用していたりとか、

そうした細かい面でも相手に実際以上の好印象を持ってもらうことは可能かもしれません。

 

普段仲が悪く、ついつい余計なことを言ってしまうような方の仕事を手伝ってあげるとか、

そうしたことでも発生するかもしれませんね。

 

様々な場面や方法で応用が利く心理効果なので、

自分流にアレンジして試してほしいと思います。

 

 

広告でも使われる認知的不協和

 怪しい広告

認知的不協和は人間関係だけではなく、

広告のキャッチコピーなどにも使われている場合があります。

 

例えば

 

1日たった10分の作業で月収100万!(我ながら嘘くせぇ~…)

・毎日たった1時間の勉強で東大合格!最新の勉強法とは?

 

などなど、こうした「小さな費用・労力で大きな成果」という形式の

キャッチコピーは認知的不協和を使って興味を引いていると言えます。

 

言う間でもなく

 

・小さな労力・費用しか払っていない

・なのにそれに見合わないくらいの大きな成果が出ている

 

という矛盾した二つの情報によって読み手の心の中にモヤモヤが生まれ、

それを解消するために続きを読んでしまうわけです。

(自分で理由を考えるよりも広告の続きに答えが書いてあるので、楽な方を選びます)

 

広告などを作る時はこうした手法も視野に入れてアイディアを練るといいかもしれませんね。

 

 

認知的不協和のまとめ

 

・認知的不協和とは「矛盾を解決するために自己正当化できる理由を考える」という心理

・この心理によって意固地になってしまい、結果的に損をしてしまうこともある

・認知的不協和を応用することで、相手に好印象を持ってもらうことも可能

・「小さな対価で大きな成果」という形式の広告はこの認知的不協和で興味を引いている

 

認知的不協和は我々の生活のいたる所で発生している非常に身近な心理効果です。

 

だからこそ、認知的不協和の特性を理解し、普段から意識することで、

様々な場面で自分にとってプラスになるように応用できると言えます。

 

あなたも早速、普段の生活やビジネスに応用してみましょう。

 

営業に使える心理テクニック