今回の要点先読みコーナー
・やる気には内発的動機づけと外発的動機づけの2種類がある
・内発的動機づけというのは自分自身の楽しさや嬉しさ、好奇心からくるやる気
・内発的動機づけで行っていることは長期的な努力ができ、学習などの効率も良い
・外発的動機づけとは報酬や罰則などによって起こるやる気
・外発的動機づけは長続きせず、進歩や発展もしにくい
・内発的動機は簡単に外発的動機に上書きされてしまう可能性がある
それでは詳しい内容が気になった方は本文をお読みください。
今回は
・起業して自分のビジネスを始めたいけど、どんな商売をすればいいのか分からない…
・子供の教育に手を焼いている…
・部下の教育を任されているんだけど中々難しい…
そんな方々にぜひオススメしたい、「内発的動機づけ」という心理を元にした
「やる気をコントロールする方法」をご紹介したいと思います。
この内発的動機付けについて理解することによって
・自分や他者の才能を見つけて伸ばす
・子供や部下の悪癖を直す
などのメリットにつなげることができます。
ぜひあなたの生活に役立ててください!
このページの目次です。
まず、内発的動機づけとは?
内発的動機づけとは一体何者なのかと言うと
・自分自身の好奇心や楽しさ、嬉しさなどから来るやる気のこと
・報酬や罰則、義務や強制などから来るものではない
・目的のために何かを行うのではなく、それを行うこと自体が目的
・内発的動機は原則として、興味がある分野にしか発生しない
というもので、簡単に言うと「自分が楽しい・嬉しい・興味があるからやってる」
ということですね。
分かりやすい例で言うと、趣味で行っていることなどは
内発的動機づけによって行動している典型的な例と言えます。
・例えば何時間もゲームに熱中してしまったり…(僕です)
・もしくは、小説などの本を読むのにどっぷりと没頭してしまったり…
・または、スポーツに夢中になって気が付いたら日が暮れていたり…
この他にも様々な例がありますが、
あなたもこのような「時間を忘れて夢中になってしまった」という経験はあると思います。
このような報酬や罰則などがなくても自分の内から発生している
やる気を内発的動機づけと言うのです。
内発的動機づけのメリット
この内発的動機づけによって行動している人は
・長期間の継続した努力が可能
・学習や作業の効率が極めて高い
という特徴があります。
例えばゲームが好きな方はそのゲームをクリアするために
何時間も集中してプレイすることができますし、
情報収集・解析なども全く苦にせず行うことができます。
また、料理が趣味という方は何時間も煮込む必要が
あるような料理にも進んで挑戦していきますし、
火加減やら調味料の配合・量などの工夫も全く苦にせず自分から楽しんで行います。
スポーツが好きな方は何時間もの練習も全く気にせず進んでやりますし、
最新のスポーツシューズや練習法などの情報もドンドン仕入れてきます。
「好きこそものの上手なれ」ということわざがありますが、
この言葉はまさに内発的動機付けのことを言い表しているように見えますね。
(下手の横好きという言葉もありますが、まあ進歩には個人差があるということで…)
ビジネス成功のカギも内発的動機づけにある!?
前述の通り、内発的動機づけによって動いている人と言うのは長期的な努力ができ、
作業や学習の効率も非常に高いです。
「起業して何かビジネスを始めたい!」という方も、
自分がある程度興味があるジャンルや楽しんでできるようなことを元に
ビジネスを考えることが成功の秘訣の一つと言えるかもしれません。
興味がないようなことや嫌々やっているようなことと言うのは
何かをする度にストレスがかかるので、どうしても手が止まってしまったり、
改善策などを考えるのが嫌になってしまったりで長続きしない可能性があります。
しかし、内発的動機づけによって行っているビジネスなら
努力を苦にすることもありませんし、長時間の作業もアッと言う間です。
「自分の好きなことを仕事にする」というのは一見理想論のようにも見えますが、
成功するための方法として理に適っている部分も十分にあるのです。
逆に外発的動機づけというのもある
内があるなら外もある、ということで、
内発的動機づけの逆バージョンに「外発的動機づけ」というのも存在します。
この外発的動機づけとは何かというと、
「報酬や罰則、義務などの自分以外の要素によって起こるやる気」
という意味だと思っていただいてもかまいません。
分かりやすい例を挙げますと
・家事を手伝うとお小遣いがもらえるから、母親の手伝いをする
・テストの点数が悪いと怒られるので、勉強をする
・業績に応じて歩合制のボーナスがもらえるので、仕事を頑張る
などが外発的要因の代表的な例と言えます。
外発的要因は長続きしない
外発的要因のメリットとしては、
「相手の行動をすぐにコントロールできる」
という点があります。
確かにテストで悪い点を取るとこっぴどく怒られると分かっていれば、
いやいやながらでも勉強をするでしょう。
また、家事などをお手伝いしたらお小遣いがもらえるのなら、
お小遣いという外的な要因を求めて母親の手伝いをすると思います。
しかし、こうした外発的動機づけによっての行動というのは
「外的な要素がなくなるとすぐにやる気がなくなってしまう」というデメリットがあります。
つまり先ほどの例で言うと、「怒られる」という外的な要素がなくなれば勉強をしなくなり、
「お小遣い」がもらえなくなるなら手伝いをしなくなるということです。
加えて、内発的動機のように自分の好奇心などが原動力になっているわけではなく、
あくまで報酬を得ることや罰則を避けること、義務を果たすことなどが目的なので、
必要以上の努力もあまり期待できません。
つまり、外発的動機づけでの行動では学習や作業の効率は上がらず、
進歩や発展などもあまり期待はできません。
報酬や罰則を使ってやる気を出させても、それはあくまで仮の物ということです。
内発的動機づけは外発的動機づけによって簡単に上書きされる!?
母「○○ちゃんお洗濯のお手伝いしてくれてありがとうね~」
娘「ママが喜んでくれると嬉しいからお手伝いする!」
母「ありがとう。じゃあお手伝いしてくれたらお礼にお小遣いあげるね!」
娘「わーい!ありがとう!」
…というご家庭での微笑ましいワンシーンですが、
実はこのような場合、母親は娘の内発的動機を外発的動機で
上書きしてしまっている可能性があります。
この場合の娘は誰に言われるでもなく、「母親が喜ぶ姿を見るのが嬉しい」
という内発的動機で家事をお手伝いしていました。
しかし、そこに母親は「手伝ってくれたらお小遣いをあげる」
という外発的動機を加えてしまいました。
するとどうなるか?もし母親がお小遣いをあげるのをやめてしまったりすると、
娘は自分からお手伝いをすることはなくなってしまいます。
「元からお小遣いなしでも手伝ってたし、母親が喜ぶのは変わらないのになんで?」
と思う方もいると思います。
しかし、この例のように内発的動機で行っていたことに対して
報酬などの外発的動機を後付けいてしまうと、
次第に「報酬を得るためにやっている」という風に動機が変化してしまうのです。
このように、良かれと思ってやったことによって、
相手の内発的動機という最大級のやる気エネルギーを台無しにしてしまうこともあります。
もしお子さんなどがいる方は十分に注意しましょう。
外発的動機を後付けして悪癖を直すこともできる
逆に、先ほどの「内発的動機に対して外発的動機を後付けする」という方法で、
相手の悪癖を直すことが可能な場合もあります。
例えば、ゲームばっかりやっている子供に対して
「ゲーム1本クリアしたらお小遣いあげるよ」
という外発的動機を後付けしたとしましょう。
その場合、最初はただ楽しいからやっていたゲームがだんだん
「お小遣いをもらう手段」に移り変わってしまいます。
そして、ある程度その環境で慣らしたらお小遣いをあげるのをやめます。
そうすると、途端にゲームをする目的を見失ってしまうので、
ゲームをやらなくなってしまう可能性が十分にあります。
このように、内発的動機や外発的動機は使い方によっては
相手の悪癖を直す方法として活用できるかもしれません。
しかし、ここで一つ注意してほしいのが、
内発的動機というのはすごいエネルギーであると同時に
その人の才能でもあるかもしれないということです。
自分自身の都合で相手の内発的動機を邪魔してしまうのは、
相手にとっては大きな損失である場合もあります。
先ほどのゲームの例も、ゲーム好きが高じて
ゲームを開発する方に興味を持ち始める可能性もあります。
もしくは、最近では高額な賞金が出る世界的なゲームの大会なども行われているので、
そうした大会に参加するようなプロゲーマーになる可能性だってあります。
自分が気に入らないからと言って相手の内発的動機による行動を邪魔することは、
相手の人生そのものを左右することにもつながります。
くれぐれも用法容量を守って正しくお使いください。
相手に内発的動機を持たせるにはどうすればいいのか?
厳密に言うと、内発的動機を確実に相手に持ってもらう方法というのは存在しません。
内発的動機づけというのは自分自身が楽しい・嬉しいと感じるものや、
興味があるものに対して湧くものです。
したがって、万人に通じる内発的動機を持ってもらう方法というのはないのです。
しかし、様々な心理学の知識を取り入れることによって
内発的動機をもってもらうきっかけ作りはできるのではないかと僕は思います。
ここでは僕が持っている知識の中で、
内発的動機作りに使えそうな知識をいくつか紹介したいと思います。
ゆる~く規制する
内発的動機が発生するには、
まずその事柄に対して興味を持っているということが大前提です。
そこで、心理的リアクタンスという心理効果を使うことによって、
相手に興味を持ってもらうことが可能なのではないかと思います。
心理的リアクタンスとは簡単に言うと、
「ダメと言われるとやりたくなる」心理のことです。
例えば、自分の子供にピーマンを食べてほしいと思うのなら、
あえて「ピーマンは食べないでね」と言って
心理的リアクタンスを起こさせるのはどうでしょうか?
こうすることによってピーマンに興味を持ってもらい、
自分から食べるようにすることができるかもしれません。
ただし、食べた結果結局ピーマンが口に合わないようなら内発的動機づけは発生しません。
あくまで内発的動機づけの入り口である興味を持ってもらう段階では、
心理的リアクタンスは有効な手段なのではないかと思います。
それともう一点付け加えるなら、
「ピーマン食べたら怒るからね!」という風に、
罰則を設けるのもいけません。
罰則を設けてしまうと逆に「怒られる」という
外発的動機によってピーマンに手を出してくれない可能性があります。
あくまでゆるく規制するのがこの方法のポイントですね。
何か成果を出したら褒める
内発的動機の原因として、「何かをやり遂げた達成感や有能感」というのがあります。
有能感というのは簡単に言うと
「○○を達成した俺すげええええええ!!!」というやつですね。
相手が何か良い結果を残した時、
それについて褒めてあげて相手自身の成長を実感させてあげることも
内発的動機を強める方法として有効かもしれません。
ただしこの方法の場合、
中には「褒められるためにやってるんじゃない!」
と不快に思ってしまう方もいます。
そうした人は放っておいてもどんどん自分で成長していくので、
深く干渉しない方が良いかもしれませんね。
内発的動機づけのまとめ
・やる気には内発的動機付けと外発的動機付けの2種類がある
・内発的動機付けというのは自分自身の楽しさや嬉しさ、好奇心からくるやる気
・内発的動機付けで行っていることは長期的な努力ができ、学習などの効率も良い
・外発的動機付けとは報酬や罰則などによって起こるやる気
・外発的動機付けは長続きせず、進歩や発展もしにくい
・内発的動機は簡単に外発的動機に上書きされてしまう可能性がある
内発的動機をいかに持ってもらうか?
自分が内発的動機を持って行えることは何か?
これを意識することが子供や部下を成長させるため、
または自分自身の人生を充実させることにつながると僕は思います。
あなたが内発的動機をもって行えることは何でしょうか?
もしかしたらそれを活かしたビジネスがあなたの天職かもしれませんね!