今から新しい仕事のやり方を教えるぞ!
必ず一発で覚えるんだぞ!
はい、頑張ります…
その後
あれだけ丁寧に教えたのに何でミスするんだ!
一発で覚えろって言っただろ!?
俺の貴重な時間を返せ!
え~んごめんなさい~
実は「必ず覚えろ!」と言った言葉は聞き手に
余計なストレスを感じさせ、記憶力を低下させてしまうわ。
相手にプレッシャーを感じさせないような教え方が重要よ。
- 「せっかく教えてあげたことなのに、相手が全然覚えていない!」
- 「ちゃんと覚えろ!って言っても部下が仕事を覚えてくれない…」
会社で部下などを教育する立場にいる方や、
もしくは教師などをしている方で、
こんな体験をしたことがあるという方はいませんか?
どうもこんにちわ。
ロボパン編集部の須田です。
こちらが親切に、懇切丁寧に1から10まで説明してあげても、
相手にそれが伝わっていなかったり、
覚えていないということになるとガックリしてしまいますよね。
…というか、ただガックリするだけならまだいいですが、
もう一度説明し直さなければならないという手間もかかってしまい、
無駄な時間が発生してしまうのも痛いですよね。
人間一人一人、要領の良さや飲み込みの速さというのは違うので、
こうしたことが起こるのは仕方ないことだとは言えますが、
出来れば二度手間になってしまう事態は避けたいと言うのが人情だと思います。
というわけで、今回はたった一言追加するだけ
相手の記憶力をちょっとだけ上げる!
そんな魔法の言葉をご紹介していきます。
会社で部下を持つ身分の人や教師など物を教える仕事をしているという方は、
コスト0円ですぐに実践できる知識なので、
是非最後まで読んでいただけると幸いです。
それでは、次の項目からその魔法の言葉をご紹介していきます!
「忘れてもいいけど」が記憶に残る鍵
結論から言うと、何かを相手に教えたり伝えたりする際、前もって
- 別に忘れてもいいけど
- 特に大したことではないけど
という言葉を付け足しておくことで、
教える内容を相手の記憶により根強く
残すことができます。
普通は相手に絶対覚えてほしいことなどを教える時は
「絶対に覚えておいてね!」という言葉をかけてしまいがちですが、
実は逆に「忘れてもいいけど」というような言葉の方が
記憶に残りやすいのだそうです。
なんだかおかしな話ですよね。
R・シンバロの実験
- 「忘れていいって言った方が記憶に残るなんて、そんなことがあるの!?」
- 「本当に忘れられたらどうするんだ!」
と思う方もいると思います。
(僕もそう思ってました)
しかし、ディーメン・カレッジの心理学者である
R・シンバロさんが行った実験によると、
この「忘れてもいいよ法」は効果的だという結果が現れています。
シンバロさんはある実験で、
集めた大学生を二つのグループに分け、
60の単語を覚えてもらうという実験を行いました。
そしてその時、片方のグループには
「きちんと覚えてほしい」と念を押すような
メッセージを投げかけました。
そして、もう片方のグループには
「別に忘れてもいい」「実験だからと言って気負いせずやってほしい」
という、緊張感をほぐすようなメッセージを送りました。
すると、「きとんと覚えてほしい」と言われたグループが
暗記出来た単語は全体の60,6%だったのに対し、
「忘れてもいい」と言われたグループが暗記出来た単語は
64,8%と、わずかではありますが上回っていることが判明したのです。
ストレスの有無が記憶力を左右する?
何故前もってかける言葉が少し違うだけで、
結果に差が出てしまうのでしょうか?
考えられる原因として、
プレッシャーがかかることによるストレスが挙げられます。
- 「絶対に忘れるなよ!」
- 「必ず覚えておいてね!」
という、教える側がついつい言ってしまいがちなこの言葉は、
教わる側の精神に
- 「忘れたら怒られるかもしれない…」
- 「失敗したら叱られるかもしれない…」
というプレッシャーをかけてしまうことになります。
プレッシャーがかかるというのは言ってしまえばストレスです。
そして、人間はストレスを感じると
記憶力が低下してしまうというデータもあります。
しかし、「忘れていもいいけど」という言葉なら
聞き手にプレッシャーを与えることもなく、
余計なストレスもかからずに済みます。
その結果、記憶力もより正常に機能するため、
物事を覚えやすくなるのかもしれません。
また、「心理的リアクタンス」という心理も
関係しているかもしれません。
心理的リアクタンスとは、このブログの過去記事である
「希少性の原理:商品の売り上げを5倍に伸ばす心理的リアクタンスとは?」
でもご紹介しましたが
人間は元からある自由が制限されたり、
自由な選択肢が制限されると反発したくなる
という心理効果です。
例えば親が子供に「勉強しなさい!」と言っても、
子供は中々勉強なんてしてくれません。
また、「好き嫌いせずに食べなさい!」と言っても、
中々嫌いな食べ物に手を付けようとはしません。
これは
- 勉強をしなくてもいい自由
- 嫌いな物を食べないという自由
が侵害され、制限されているために
心理的リアクタンスが働き、
反発心が生まれているからでもあります。
この心理に当てはめて考えると、
「絶対に覚えなさい!」という発言は、
相手の「覚えなくても良い自由」を制限していることにもなります。
そのため、余計にストレスがかかってしまい、
記憶力にさらなる悪影響が出ているのかもしれません。
相手に余計なプレッシャーをかけないことが重要!
人に何かを教える時というのは、
余計なプレッシャーをかけないように配慮した方が、
かえって上手く覚えてくれる場合も多いと思います。
- 「必ず覚えて!」
- 「絶対忘れるな!」
- 「二度は言わないぞ!」
どれも教える側がついつい言ってしまいがちなセリフではありますが、
そこをグッとこらえて
- 「別に無理に覚える必要はないけど」
- 「分からなくなったら何度でも教えてあげるから」
というような、相手の気持ちをほぐすような言葉をかけてあげるように努力しましょう。
それでは、今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。