人間はグループで話し合いなどをする時、
周りに気を遣って反対意見を飲み込んでしまうことがよくあるわ。
これを心理学では集団思考と言うのよ。
そして、この集団思考によって偏った意見だけが採用され、
結果的に大きなトラブルや失敗につながってしまうこともあります。
話し合いでは「皆が気兼ねなく意見を言える環境」を作ることが大切です。
例えば、何かについて意見を出し合ったり、
相談するために会議をする際
一番偉いAさん「私は〇〇するべきだと思うけど、皆どう思う?」
平社員のBさん「僕は異論はありません。いいと思います」
平社員のCさん「私もそれがいいと思います」
平社員のDさん「僕も特に反論はないです。それでいきましょう!」
…という光景を目にすることがよくあります。
一見、皆さんの意見が一致していて、
円満に会議が進んでいて好ましい光景のようにも思えます。
しかし、見方を変えると
・Aさん以外の人は思考停止で一番偉いAさんに従っているだけ
・一番偉いAさんに反論することを恐れて、同調しているだけ
という見方もできます。
つまり、このままでは結局Aさん一人が
物事を決定しているのと全く同じことになってしまいます。
そして、こうした偏った意思決定が、
後々大きなトラブルや事故、失敗に
つながってしまう可能性も十分にあります。
今回は、会社や学校などで
・部長や課長など、人の上に立つ役職の方
・会社のプロジェクトのリーダー
・部活やサークルなどのまとめ役
などなど、会議の場などで人をまとめる立場にある人に、
是非とも聞いて欲しい「集団思考」という心理効果について
解説していきたいと思います。
一人の意見だけで物事を決定するのではなく、
多くの人の意見を取り込んで決定した物事の方が
上手く行きやすいということは往々にしてあります。
あなたも今回の記事を読んで、
しっかりと皆が意見を言い合える環境を
作るようにしていきましょう!
集団思考とは何か?
まず初めに集団思考という心理効果について
解説していきたいと思います。
集団思考とは、社会心理学者のアービン・ジャニスという方が提唱し、
後にジャーナリストのウィリアム・H・ホワイトによって名付けられたもので
グループで意思決定などをする場合、人は自分と違う意見や見方を検討するよりも、
周囲と仲良くして意見を一致させるように動きやすい。
その結果
・反対意見を検閲し、リーダーなどに届かないようにする
・他者の意見を下らないものとして軽視する
という偏った思考や行動を取るようになる。
というものです。
この記事を読んでいるあなたも、
今までの人生で一度は
・実は言いたいことがあるんだけど、皆の意見に従っておこう…
・腑に落ちないところがあるんだけど、リーダーに従わなきゃいけない空気だ…
という状況に陥った経験があるのではないでしょうか?
これがまさに集団思考と言えます。
集団思考が起こる原因とは?
この集団思考と言う心理効果が起こってしまうのは
・グループの結束力が強く求められる
・第三者からの意見などの外部からの影響からグループが隔離されている
・リーダーが権威主義的で自分の意見ばかり言う
などの環境的な要因が原因であると言われています。
これらがプレッシャーとなって
・(反対意見があるけど黙っておこう…)
・(とりあえず皆に合わせておくか…)
という思考に陥ってしまうわけですね。
集団思考によって大きな失敗が起こる可能性あり!
この集団思考によって言いたいことが言えず、
結果偏った意見が通ってしまうことによって
後に大きなトラブルにつながってしまうという場合は多々あります。
一つ例を挙げるなら、アメリカの「チャレンジャー」という
スペースシャトルが打ち上げの際に起こした爆発事故があります。
このチャンレンジャーが打ち上げに失敗した原因は、
打ち上げ当日の気温の低さにありました。
ある技術者は、気温が低すぎると
ゴム製部品が劣化しやすくなるということを
NASAの管理職に訴えていました。
しかし、NASAの管理職はこの訴えを無視し、
安全を度外視して打ち上げスケジュールを守ることを
優先し、当日の発射を強行しました。
その結果、チャレンジャーは打ち上げの際爆発事故を起こしただけではなく、
乗組員7名の命も奪ってしまった…というわけです。
この例では、NASAの管理職の中で集団思考が発生し、
技術者という第三者からの意見を軽視ししてしまった…
ということですね。
このように、偏った意思決定によって
トラブルが起こることはよくあります。
皆が意見を言える環境づくりが大事
集団心理が発生してしまい、
偏った意見で物事が決行されてしまうということは、
別にNASAじゃなくてもあらゆる場所で起こっています。
しかし、集団心理によって結局リーダーなどの
一部の人間の意見だけがまかり通っているのでは、
正直会議している意味もグループを作る意味もありません。
そして、一人の人間が考えただけの意見と言うのは、
どこかに穴があったり、問題点がある可能性も十分ありえます。
チームやグループのリーダー、
部長や課長などのまとめ役の方は、
「皆が意見を気兼ねなく言える環境」
を作ることが重要です。
例えば、最初に自分の意見を言うのではなく、
まずは他のメンバーに先に意見を言ってもらってから、
最後にリーダーの意見を言うというのも一つの方法です。
こうすることで、他のメンバーが単なるイエスマンになってしまう
という状況を未然に防ぐことができます。
また、最終的な個人個人の意見を、
匿名の状態で紙に書いてもらうのもいいでしょう。
これらはほんの一例で、アイディア次第で
もっとたくさんの方法があると思います。
将来のトラブルや失敗を防ぐために、
そして、多数の意見を取り入れたより良いアイディアを生み出すために、
ぜひ「皆が意見を気兼ねなく言える環境作り」に取り組んでいただきたいと思います。
日頃からまとめ役やリーダーになる機械が多い方は、
今すぐ考えてみましょう!