コンコルド効果

今回の要点先読みコーナー

 

・人間は費やした努力や費用を惜しんで、失敗すると分かってることを続けてしまう

・意思決定をする前に、自分の考えにコンコルド効果が影響していないか考えてみよう

・「ここまでやってダメならやめる!」という基準を設けておくのも重要

 

それでは詳しい内容が気になった方は本文をお読みください。

 

 

・「ギャンブルで5万も負けてしまったけど、次こそは当たる気がする…!」

・「株に失敗して損をしてしまった…。何とか別の企業の株で負け分を取り戻さないと!」

・「周りから様々な不安要素を指摘されている新商品だけど、これまでかかった時間や費用を考えると後戻りできない!」

 

…このように、「失敗を取り戻すため」とか「これまでの努力や費用を0にできない!」

と言った理由で上手く行きそうにない手段を強行し、

ズブズブと失敗の沼にはまっていくことが人間にはよくあります。

 

今回はコンコルド効果という心理効果を元に、

なぜこんな心理が働いてしまうのかを解説していきたいと思います。

 

これからビジネスを行っていく上で、もしくは何気ない日常生活やお仕事の上で、

あなたにもこうした状況がいつ起こるか分かりません。

 

そんな時、この知識があるのとないのとでは対応の仕方も変わってきますし、

引いてはその後の損失を小さく抑えられるか?

それともズブズブとドツボにはまってしまうかにも影響してきます。

 

もしもの時正しい判断できるように、

しっかりと覚えておいてください!

 

 

 

 

 

コンコルド効果とは?

 コンコルド効果とは?

まずはコンコルド効果についての解説です。

 

コンコルド効果というのは一言で言うと、

 

「そのまま続けても損しかしなさそうなのに、

これまでの努力や費用が無駄になるのが嫌でズブズブと同じことを続けてしまうこと」

 

という心理効果です。

 

このコンコルド効果の名前の由来は、

1960年代に開発された超音速の旅客機である「コンコルド」

商業的に大きな失敗をしたことから来ています。

 

コンコルド旅客機は音速を超える高性能で一時期人気を呼びましたが

 

・開発費や維持費、燃費が悪いなど、コスト面がかかりすぎる

・すごくうるさい

・一度に100人ほどしか乗せれない

 

などなど、この他にも様々な問題点がありました。

 

加えて、音速を超えることが出来なくても

低コストで大量の人や物を輸送できる飛行機の方が需要が高まったため、

コンコルド旅客機はどんどん不要な存在になっていったのです。

 

しかし、「これまでにかかった費用や時間が無駄になるから」という理由で、

コンコルド旅客機のプロジェクトは中止されず、そのまま続けられることになります。

 

結果的に状況が好転することはなく、

会社が倒産するまでに負債が膨れ上がってしまった…

というのがコンコルド旅客機のことの顛末です。

 

人間はこうした状況に陥ると、

ダメだと分かっていてもそれを認められずに突き進んでしまうことがよくあります。

全く恐ろしい話ですねぇ…。

 

 

なぜこうした心理が働くのか?

 

なぜダメだと分かっていても続けてしまうのか?

そこには

 

・一度取った自分の立場を続けようとする「コミットメントと一貫性の原理」

・長く関わっていたものに対して愛着が湧く「ザイオンス効果」

 

などなど、様々な他の心理効果も関わっているのではないかと思います。

 

しかし、根本的な原因は

 

・そもそも脳は考えるのが面倒くさい

・自分の失敗を認めるのは大きなストレスがかかる

 

ということなのではないかと僕は思います。

 

脳は体全体の重さの中のたった2%くらいの大きさしかありませんが、

一日の消費カロリーの20%を消費していると言います。

 

つまり、小さな体でそれだけ多くの働きをしているわけです。

 

そんなただでさえ忙しい脳にとって、

「別のやり方を考える」というのは

余計な仕事が増えたということに他なりません。

 

また、自分の失敗を認めるというのも結局は

「じゃあ代わりにどうすればいいのか?」というのを考えることにつながります。

 

その結果、自分が今までやってきたことが無駄だと分かってしまっても

 

・もう少しやってみれば結果が変わるかもしれない!

10cm掘らなかったばかりに見つからなかったお宝もある!

・次こそは勝てる!

 

という根拠にならない理由で今までの方法を継続してしまうのではないかと思います。

 

 

コンコルド効果は子供には発生しない

 

自分の今までの努力や、かけた経費に対して執着してしまうコンコルド効果ですが、

実は他の生き物や小さな子供には発生しないんだそうです。

 

脳が発達した大人の人間特有の心理効果と言えますね。

 

 

 

 

 

意思決定のその前に、コンコルド効果を疑ってみよう

 立ち止まる女性

僕たち人間の下す判断と言うのは、

こうした心理効果によって時折合理的ではない方向に

向かってしまうことも少なくありません。

 

「パチンコで負け続けだけど、これだけ負ければ次は勝てるはず!」という方、

なぜそうなるか根拠を持って言えますか?

 

「新商品の開発に莫大な費用と時間をかけたんだ!もう今更引けない!」という方、

もしそのまま商品の販売を強行したら、最悪どれくらいの損害になるか想像してみましょう。

 

大事な意思決定の場面だからこそ、

脳が怠けようとするのをグッとこらえて考えることが重要です!

 

 

あらかじめ基準を設けておくのもアリ

 

こうしたコンコルド効果によって損失を拡大してしまわないためにも、

事前に「ここまでやったら止める!」という基準を作っておくのも有効な手段だと思います。

 

例えば僕がよくやる例を出すなら、新しい事業などを始める時

「とりあえず広告費3万円で反応がなかったらやめる」というものです。

 

こうした基準を設けることで「もう少しやれば上手くいくんじゃないか…」

という心理に歯止めをかけることができます。

 

ギャンブルなどをする際も「○○円しか使わない!」

あらかじめ基準を設けておくといいかもしれませんね。

 

 

 

 

 

コンコルド効果に対するまとめ

 

・人間は費やした努力や費用を惜しんで、失敗すると分かってることを続けてしまう

・意思決定をする前に、自分の考えにコンコルド効果が影響していないか考えてみよう

・「ここまでやってダメならやめる!」という基準を設けておくのも重要

 

このコンコルド効果が邪魔をすることによって合理的な意思決定ができず、

結果的に大きな損失を被ってしまう人も少なくありません。

 

上手く行かない時、思うような結果が出ない時、

闇雲に突っ走ってしまう前に、一度自分の考え方や努力の方向を

振り返ることも大事だと思います。