学習性無力感

今回の要点先読みコーナー

 

・ストレスの回避が困難な状況が長く続くと、人は何もしなくなる

・無暗に相手を叱りつけることは学習性無力感の原因になる

・叱るよりも褒めることが重要。成功体験はやる気の原動力!

・ある程度は「他人のせい」と考えるマインドを持つことも大事(あくまである程度は)

・学習性無力感を強く植え付けられ、今後の人生を棒に振るくらいなら逃げた方がマシ

 

それでは詳しい内容が気になった方は本文をお読みください。

 

 

・「最初はやる気のある新人だったのに、今ではすっかり無気力になってしまった…」

・「子供の頃はあんなに活発でやる気ある子だったのに、引きこもりになるなんて…」

 

などなど、社員や子供の教育に頭を悩ませている方は多いのではないかと思います。

 

しかし、もしかしたら新入社員や子供がそうなってしまったのは、

他ならぬあなたが原因の可能性もあります。

 

今回は無気力人間になってしまう「学習性無力感」という心理効果の解説と、

その解決方法を紹介していきます。

 

今回の内容は教育に関係することなので

 

・経営者

・管理職に就いている方

・子供がいる方

・教師

 

などなど、「誰かを指導する立場にある方」にはぜひ読んでいただきたいと思います。

 

また

 

・「いつも失敗ばかりで何もやる気が起きない」という方

・「どうせ何をやっても失敗する…」と思ってしまう方

 

こうした方にも同様に読んでほしいと思います。

 

下手をすると相手や自分の一生を左右するような重大な心理効果ですので、

ぜひ取り返しのつかないことになる前に覚えておきましょう。

 

 

 

 

 

学習性無力感とは何か?

 学習性無力感について

学習性無力感とはアメリカの心理学者である

マーティン=セリグマンが1967年に発表した心理効果で

 

「人は長期に渡ってストレス回避が困難な環境に置かれると、

その状況から逃れようという努力すらしなくなる」

 

という内容です。

 

生き物は基本的に何かストレスを感じると、

その状況を解決しようと努力をするようにできています。

 

しかし、いくら頑張ってもそのストレスを取り除くことができなかった場合、

「何をやっても無駄」というふうに考えてしまいます。

 

その結果「無駄な努力→失敗」というストレスを受けるよりなら、

もう諦めて何もしないという選択肢を取ってしまうのです。

 

 

学習性無力感に関する実験例

 無力な犬

これは別に人間にだけ当てはまることではなく、

犬やネズミなどの様々な生物に当てはまる

 

この学習性無力感に関する実験例として代表的なのが、

「犬と電流の実験」です。

 

ある一つの部屋の真ん中を低い柵でしきり、

A部屋とB部屋に分けます。

 

そして、音の合図が鳴った後にA部屋の床に電流を流すようにします。

 

すると、犬は電気ショックを何とか避けようとして、

真ん中の柵を飛び越えてB部屋に逃げ込むようになります。

 

そして次はB部屋の床に電流を流すようにすると、

今度は柵を飛び越えてA部屋に行くようになります。

 

「隣の部屋に行くと電流を回避できる」と学習するわけです。

 

しかし、ここで両方の部屋に電流を流し、

電気ショックを回避できなくするとどうなるか?

 

最初のうちは犬は何とか電気ショックから逃れようと努力します。

 

しかし、次第に犬は電気ショックを避けるための努力をしなくなってしまいます。

 

その後、最初のように片方の部屋のみに電流を流すようにし、

柵を飛び越えれば電流から逃れられる状況に戻しても、

犬はもう動こうとはしません。

 

長い間ストレスにさらされることで、

「自分の力では解決することは無理だ」と学習してしまうわけです。

 

これに似た実験はノミや魚などでも行われ、

同様の結果が得られたようです。

 

学習性無力感というのは人間だけではなく、

もはや生物に備わった本能的な機能と言えますね。

 

 

 

 

 

学習性無力感に囚われた人間の例

 

例えば社会的に白い目で見られがちなニートなどはなぜ生まれてしまうのでしょうか?

そこにも学習性無力感は深く関係していると言えます。

 

例えば何社も何十社も面接を受けたのに内定がもらえなかった人はどうなるでしょうか?

 

・「こんだけ受けて一社も受からないなんて、もうそういう運命なんだ…」

・「どうせどこ受けたってまた落ちるに決まってる…」

 

という無力感を学習し、その結果「何もしない方が良い」となり、

ニートになってしまう方もいるでしょう。

 

また、就職したのはいいものの、就職先でパワハラやイジメを受け、

精神をボロボロにされて辞めてしまったという人も同様です。

 

「どうせ別の会社に入っても同じ目に遭うだけ…」と考え、

無気力になってしまいます。

 

ニートの例の他にも

 

・いくら新しい提案しても全く採用されない

・何度やっても失敗してしまい、その度に上司にキツく怒られる

 

会社で常日頃からこうした体験が蓄積している社員は、

学習性無力感にとりつかれて次第に無気力になり、

何もしたくなくなってしまうでしょう。

 

 

 

 

 

負のループを断ち切るのが重要

 負のサイクル

これは会社内などではよくあること。

 

学習性無力感にとりつかれてしまうと、人は「どうせ何をしても失敗」すると思い込み、

努力をしようとしなくなってしまいます。

 

しかし、周りから見ればダラけているだとか、サボっている風にも見えてしまいます。

 

その結果

 

1:学習性無力感に陥る

2:何もしなくなる

3:その様子を見た周囲に怒られる

4:ストレスがたまる

5:学習性無力感が強まる

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という悪魔のサイクルにはまってしまうこともよくあります。

 

また、人間は長期的なストレスにさらされると

脳の記憶に関わる部分である海馬という部分が委縮し、

物覚えや悪くなったり記憶を思い出すという行為に異常が出てしまいます。

 

そうした要因によってミスが多発するというのもこのサイクルに拍車をかけます。

 

このサイクルは最悪、学習性無力感に陥っている方が過剰なストレスで心身に異常をきたし、

病院送りになるまで続くこともあるでしょう。

 

まさに「人間ぶっ壊しサイクル」とも言えます。

 

そして、周囲の人間からしてみれば学習性無力感に陥った方が病院送りになるのは

「やる気のないやつがいなくなってせいせいした」程度のことで済むかもしれません。

 

しかし、当の本人からしてみれば長期的なストレスによって植え付けられた無力感は

生半可なことでは拭い去ることはできません。

 

・「どうせ何をしたって失敗する…」

・「何をやったって上手くいかない運命なんだ…」

・「どうせ何やったって無駄なんだから、何もしない方が良い…」

 

こんな気持ちがずっと続き、

その後の人生にも大きな影響を与えます。

 

学習性無力感は人生を左右する心の病です。

 

もしこの記事を見ているあなたの周りに無気力に陥っている方がいたら、

せめてあなただけでもいいので気遣ってほしいと思います。

 

 

「叱って伸ばす」を僕は全否定します

 悩み事

学習性無力感の原因は何と言っても失敗の体験です。

 

つまり、管理職や親、教師などの誰かを指導する立場にある人間は、

やる気のある人材を作ろうと言うならみだりに相手を叱りつけることは避けた方が賢明です。

 

相手を怒鳴ったりするということは自分の鬱憤を晴らしているだけで、

相手にとってプラスに働くことなどほとんどないと僕は思います。

 

そもそも生き物と言うのはストレスを回避するようにできているし、

楽しいことや嬉しいことを続けたくなるようにできているわけです。

 

キツく叱られ、罵声を浴びせられるようなことに対して

もう一度トライしたくなる人間の方が少数派だと言えます。

 

・「なんでこんなこともできないんだ!?」

・「こんなことも分からないなんておかしいんじゃないか?」

・「お前こんなんじゃこの先やってけないぞ?」

 

などなど、部下や生徒、子供のミスに対して感情的になって罵声を浴びせる前に、

まずは褒めるべきところを見つけるのが先決だと思います。

 

 

やる気の源は成功体験

 

学習性無力感の原因は失敗体験ですが、

学習性無力感に対する薬となるやる気の源は「成功体験」です。

 

そのため、学習性無力感に陥っている方を回復させるには

 

・まずは小さなことから任せる

・上手く行ったら褒める

 

これが単純かつ適切だと思います。

 

また、自分自身が学習性無力感にとらわれていると感じているなら、

小さな成功でもいいから自分の成果を記録しておくのもいいと思います。

 

ツァイガルニック効果の記事でも述べましたが、

ただでさえ人間は成功した体験というのは忘れやすくなっています。

 

なので、小さなことでも成功体験を記録し、自分に少しでも自信を持つことが大切です。

 

 

「他人のせい」が予防法になる?

 

海外の労働者の方々は「失敗の責任を環境のせいにする」ということが多く、

経営者さんの頭を悩ます材料にもなっているそうです。

 

しかし、このマインドは自分自身の心を無力感から守る防衛策だと考える方もいます。

 

経営者の方などが失敗の原因を他の人や環境・社会のせいにしていても仕方ありません。

 

しかし、従業員の方はある程度こうしたマインドを持っておいた方がいいかもしれません。

(口には出さず、あくまで心の中で思うという意味で)

 

また、上司や会社に対する愚痴を

気兼ねなく言えるシステムを作るのもいいかもしれませんね。

 

社員が匿名で会社の環境の悪い面や、

上司の性格などを批判できるような装置を設置するのも、

社員を学習性無力感から守る上で有効かもしれません。

 

 

思い切って逃げるのもアリ

 逃げるのもあり

ここまで学習性無力感に関する解説や、

僕なりの解決方法などを紹介してきました。

 

ですが、世の中の人全員が学習性無力感という心理効果について

熟知しているわけではありません。

 

もしこの記事を読んでいるあなたが現在進行形で前述の負のサイクルにはまっていて、

会社の業務などで学習性無力感を感じていても、

あなたの上司や同僚が学習性無力感に対しての知識があるわけではないかもしれません。

 

なので、もしかしたらこれから先も負のサイクルは続くかもしれません。

 

もしそうなら、いっそのことその会社を辞めてしまうとか、

学習性無力感を感じるような環境から逃げ出すというのもアリだと僕は思います。

 

学習性無力感は後々の人生にまで尾を引きます。

 

学習性無力感が心に根を張り、今後の人生のあらゆる面で

「どうせ何をしても無駄…」と考えるようになって動けなくなってしまうくらいなら、

いっそのこと目の前の仕事なんて放り投げて休んだ方がいいと僕は思います。

 

人間どこまで行っても、体と心が資本です。

 

今いる環境から逃げるというのも勇気がいる選択ではあります。

 

ですが、自分の今後のことを考えて、

逃げる勇気を持つことも大事なのではないかと僕は思います。

 

 

学習性無力感のまとめ

 

・ストレスの回避が困難な状況が長く続くと、人は何もしなくなる

・無暗に相手をりつけることは学習性無力感の原因になる

・叱るよりも褒めることが重要。成功体験はやる気の原動力!

・ある程度は「他人のせい」と考えるマインドを持つことも大事(あくまである程度は)

・学習性無力感を強く植え付けられ、今後の人生を棒に振るくらいなら逃げた方がマシ

 

・良かれと思ってやっていた厳しい躾

・つい感情的になって言ってしまった一言

 

一つ一つが相手の失敗体験になり、

学習性無力感を植え付けてしまっていたという可能性もあります。

 

学習性無力感は人格形成に大きな影響を及ぼす心理効果の一つです。

 

せめてこの記事をたまたま読んでくれたあなただけでも、

学習性無力感の怖さを意識して今後の生活に役立ててくれたら僕は嬉しく思います。

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知広須田
雪国秋田で生まれ育った27歳のオス トドのような肉体を持ち、ラッコのような体勢で寝る珍獣 特技はコピーライティング・除雪・相手のボケをボケで返すこと 好きな食べ物は肉と米 渡辺とは高校時代からの友人 コピーライティングができるのにトドなので難しい文章が苦手、 見やすく分かりやすい文章を書くために日々研究中。